おすすめ!帯状疱疹ワクチン
2025年度より帯状疱疹ワクチンが定期接種となりました。65歳の方(経過措置として70歳、75歳、80歳、85歳、90歳になる方も)は江東区から予診票が送られてきます。これを利用することで接種費用の助成を受けることができます。またそれ以外の方は任意接種となります。50歳以上で江東区にお住まいの方は、区役所に予診票送付を依頼することで接種費用の助成を受けることができます。(任意接種による助成制度は2026年3月末で終了となります!)
この機会に帯状疱疹ワクチンの接種をおすすめします。今回は帯状疱疹についてのお話です。
帯状疱疹とは
子供の時にかかった水ぼうそうのウイルスはひっそりと体内(神経節)に潜伏しています。加齢やストレスなどで免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが再び活性化し、体の片側に痛みを伴う帯状の発疹が出現することがあります。これが帯状疱疹です。50歳以上の日本人では水ぼうそうウイルスの抗体保有率はほぼ100%と言われています。つまり誰もがウイルスが潜伏しており帯状疱疹のリスクがあるということです。とくに50歳代から発症率が増加し、80歳までに3人に1人が発症すると言われています。糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある方は帯状発疹の発症リスクはより高く、また帯状発疹発症後には脳卒中や心筋梗塞のリスクがあがることが報告されています。帯状疱疹ワクチンは発症を抑える効果があります。
痛みが残ってしまう帯状疱疹神経痛
帯状疱疹が発症した場合には、できるだけ早期に抗ウイルス薬を内服し治療を行います。しかし約20%の方で、後遺症として痛み(帯状疱疹後神経痛)が残ることがあります。帯状疱疹後神経痛には内服薬や神経ブロックなどで対応しますが、痛みが残り生活に支障をきたしてしまうことがあります。また頭部や顔面に帯状疱疹がでた場合、視力低下や失明、顔面神経麻痺などの重い後遺症が残る可能性があります。
2種類のワクチン
ワクチンは帯状疱疹の発症を防ぐだけでなく、帯状疱疹後神経痛への移行を防ぐ効果もあります。
帯状疱疹ワクチンには1回接種の生ワクチンと、2回接種が必要な不活化ワクチンがあります。ずばりおすすめは2回接種が必要な不活化ワクチン”シングリックス”です。
2種類のワクチンを比較しましょう。
| 弱毒生ワクチン | シングリックス | |
| ワクチンの種類 | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
| 接種回数 | 1回 | 2回 |
| 発症予防効果 | 60歳以上で51.3% | 50歳以上で97.2% 70歳以上で89.8% |
| 長期予防効果 | 5年で効果減弱 | 10年後でも90% |
| 副反応 | 少なめ | やや多め |
| 費用 | 7500円 | 21800円×2 合計43600円 |
| 対象者 | 50歳以上 | 50歳以上 |
シングリックスによる帯状疱疹の予防効果は97%以上(追跡期間1年)と報告されています。問題はどれだけ予防効果が持続するかですが、現在までのところ11.4年間の観察で予防効果は87.7%と高く維持されています。それ以上のデータは現状ないのですが、観察期間の延長とともに効果期間は伸びていくことが期待できます。
ちなみに生ワクチンがおすすめなのは、血液に暴露される機会のある医療・消防関係者や、妊娠前の接種です。
シングリックス接種の実際
1回目の接種をしてから2か月後に2回目の接種を行います。2か月を超えた場合でも少なくとも6か月後までには2回目の接種を行いましょう。接種当日にかぜをひいている方はうてません。
シングリックスの副作用について
多くの方に注射部位の痛みや腫れが生じますが、通常数日でひいてきます。
注射した部位の副作用としては・・・ 痛み(78%)、赤み(38%)、腫れ(26%)
接種部位以外の副作用としては・・・ 筋肉痛(40%)、疲労(39%)、頭痛(33%)、悪寒(23%)、発熱(18%)
これらの反応は1回目のほうが強かったり、2回目のほうが強かったり、様々です。
日常生活が滞るほどの強い反応は数%ですが、それもほぼ1日でおさまります。念のために接種後数日に大きなイベントのないタイミングで接種するようにしましょう。
よくある質問
①シングリックス以前接種したことがあります。次回は何年後にうったらいいでしょうか?
現状シングリックスをうつのは1生涯で1回となっています。シングリックは、観察しうる4年で87.7%と予防効果が長く持続します。今後のデータ状況によっては追加接種が認められることも無きにしもあらずですが、現状は再接種はできません。
②すでに帯状疱疹になってしまったのですが、もうワクチンはうつ必要がありませんか?
帯状疱疹になるとウイルスに対する免疫能が上がるため、しばらくは再発しにくいといわれています。しかし加齢や疲労、ストレスなどにより免疫機能が低下すると再発する可能性があります。まったくの私見ですが、3~5年くらいたったらワクチン接種をおすすめします。
③抗体検査をうければ帯状疱疹にならないか予測がつきますか?
帯状疱疹の発症閾値は個人差が大きく、抗体検査で帯状疱疹の発症を予測できないと言われています。
④すでに生ワクチンを受けたことがあるのですが、シングリックスを追加でうつことはできますか?
生ワクチンは5年ほどで効果が減弱してしまうと言われています。5年~10年後にシングリックスへの切り替え接種をおすすめします。
なんと認知症の予防にも!
トップジャーナルである「Nature」で、帯状疱疹ワクチンの接種にてよって認知症のリスクを低減できる可能性があるという研究結果が2025年に報告されました!! ワクチン接種後7年間の観察で、認知症の発症率が20%低下したというデータです。このデータは生ワクチンによるものですが、不活化ワクチンではさらに効果が高いという報告もあります。
わたしは帯状疱疹ワクチンうちます!
うちのクリニックでは皮膚科もやっていることもあり、帯状疱疹の方が多くいらっしゃいます。服がすれるだけでも痛い、痛くて横になれないなど、かなりつらそうです。後遺症なく治ればよいのですが、帯状疱疹後神経痛になったら本当に大変だと思います。
また帯状疱疹ワクチンが認知症の発症リスクを低減するという発表は衝撃的です。
というわけで私は帯状疱疹ワクチンを接種します。認知症予防のためにも!
まったく健康な30代でも発症する方もいらっしゃいます。というわけですべての帯状疱疹を防ぐことはできませんが、ストレスをためない、暴飲暴食をしない、十分な睡眠、規則正しい生活など、免疫能をおとさないような日々の心がけも大事なのだと思います。
