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便潜血を無視しないで!!

[2025.06.11]

検診項目のなかで便潜血検査って本当にいやですよね。面倒くさいし、自分の便をまじまじと眺めるのもイヤなのに、それをこすりつけたりなんて・・・! さっきまでおなかの中にあったものなのに、体の外に出た瞬間になんだか嫌悪の対象になるかわいそうな「うんち君」。でも便潜血検査ってすごく大事なのです。結果に目を背けてはいけません!「痔のせいだろ」と自分で思い込んではいけません!

便潜血とは?

大腸や肛門から出血すると血液が便に混ざります。出血量が多ければ便が赤くなったり、トイレットペーパーに血がついたりして気づくと思います。しかしわずかな出血では見た目で判別することができません。便潜血検査は便のなかに含まれている微小な血液を検出します。2回検査を行い、1回でも陽性であれば大腸カメラによる精密検査が必要です。

大腸がんの便潜血陽性率

便潜血検査は大腸がんを見つけるための検査ですが、いったいどれくらい信頼してよいのでしょうか?進行癌での便潜血陽性率は80%、早期癌では30%、癌になる前のポリープでは20%です。この数字を高いとみるか、低いとみるか、みなさんどう思いますか? 進行癌で20%、早期癌もしくはポリープでは70~80%が見逃されます。かなりの数ではないでしょうか? 

便潜血陽性だった場合の有病率

逆に便潜血陽性だった場合の有病率はどうなのでしょうか?
便潜血陽性で大腸がんが発見される確率は全体では5%程度とさほど多くありませんが、2回とも陽性であると20%、さらに60歳以上の便潜血2回陽性では50%とかなり高確率です!! 

痔と便潜血は無関係

便潜血陽性となっても、痔のせいだと思い込んで(もしくは自分に言い聞かせて)検査を受けない方も多いと思います。痔があってもなくても便潜血陽性率は5~8%と変わりありません。納得するのに都合がよいので便潜血は痔のせいと思う気持ちもわかりますが、データはそれを否定しています。

大腸ポリープはあるものです!

大腸がんとまではいかなくても、大腸がんになる前のポリープは多くの方で見つかります。一般に女性よりも男性のほうが多いのですが、30代で20~25%、40代で40~45%、50代で50~60%、60代以上では60~70%の方でポリープが見つかります。きっとあなたにもあります。あって当たり前なのです!!

私のおすすめは

大腸カメラで腫瘍性ポリープ(非腫瘍性ポリープは切除する必要がありません)があった場合にはその場で切除します。大腸ポリープをすべて処理していれば3-5年はひと安心といえますが、まれに検査後3年以内に進行癌がみつかることがあります。大腸カメラを受けない年は便潜血検査を受けておきましょう。もし便潜血陽性となった場合には予定を早めて大腸カメラを受けることをおすすめします。わたしは便潜血が問題なくても、5年に1回は大腸カメラを受けるようにしています。50歳を超えたら3年に1回受けるつもりです。

便潜血について私が思うこと

便潜血がきっかけで大腸カメラを受けて、前癌病変のポリープが判明して治療を受ける方はクリニックでも毎日のようにいらっしゃいます。みなさん「便検査で陽性でなければ大腸カメラは受けていなかった!」とおっしゃいます。大腸ポリープがすぐに癌化するわけではありませんが、時間をかけてゆっくり増大しがん化するのです。がん化しても症状はありません。がん自体による症状がでるのは進行がんになってからです。この状態では内視鏡治療はもうできなくなっています。手術できればよいのですが、すでに転移がひろがっている場合には抗がん剤治療となり対応が難しくなります。便潜血検査ってすごく大事な検査ですが、大腸カメラはもっと大切だと思います。

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