B型肝炎
出生時の感染
出生時に母体から子供に感染する垂直感染では、免疫寛容のためウイルスが排除されず、持続的にウイルスが存在し続ける状態(無症候性キャリア)に移行します。思春期を過ぎると自己の免疫がウイルスを異物として認識するようになり、一過性に強い肝炎を起こしたあと抗体を獲得しウイルスが少ない状態(非活動性キャリア)に変化します。およそ80~90%の人はこのまま肝機能が一生安定しますが、残りの10~20%の人は肝炎の状態が持続します(慢性肝炎)。2016年以降は出生時にワクチンが接種されるようになりました。
成人の感染
以前は輸血や針の使いまわしで感染するケースが多くありましたが、現在はほとんどなくなりました。それでも性的接触や刺青などの行為が原因となることがあります。成人での感染では慢性化しにくく、一過性の感染で終わることがほとんどです。しかし既往感染であったとしても肝臓のなかにウイルスのDNAは残っています。抗がん剤やステロイドなどで免疫抑制の治療を行うと、潜伏していたウイルスが再活性化することがあります。必ず
慢性肝炎では肝がんに注意
慢性肝炎では肝硬変や肝がんに注意が必要です。採血検査や腹部エコー検査による定期的なチェックを行いましょう。
抗ウイルス薬やワクチン接種が有効
肝臓の炎症の数値が高くウイルス量も多いに場合には、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を服用し、肝炎を沈静化させることが重要です。またB型肝炎には感染予防に効果的なワクチンがあります。B型肝炎の流行地域に渡航する前に接種することが効果的です。